大嫌いで、大好きな君
あたしの声を聞くと「わかった」とだけ言ってアユムは自転車をこぎ始めた。
町並みが過ぎていく。
風を切りながら進む自転車。
振り落とされないように、しっかり腰につかまる。
そんなことないのにね。
不安になる。
アユムはいつでも彼女ができるだろう。
そんななか、あたしを選んでくれた。
優しい、優しいレイタ。
今は好きにはなれないけれど…。
「着いたよっ」
そう言って着いたのは
「アイスクリーム屋さん?」
「うん、俺、アイス好きなんだよね~」
そういいながら笑顔で自転車を止めるアユム。
そんなアユムを見ながらあたしは思わず笑ってしまった。
やっぱり、アユム楽しいな。
「そうだね、そろそろ暑くなってきたしね。食べようか」
あたしは笑顔でそういいアユムと手をつなぎアイスクリーム屋に入った。