大嫌いで、大好きな君
謝ったって遅いだろう…。
だってあたしはアユムを拒絶してしまったんだから。
こんなに優しいアユムを…
あたしは…最低なことをした。
――――――ポロッ
涙があふれてきた。
1粒、2粒、…
涙はとまらず流れる。
あたし、あたし最低だ…。
最低だ…。
「ゆうっ!」
その瞬間、あたしは抱きしめられていた。
あたしは、アユムの腕の中にいた。
アユムはあたしが皆からみられないようにかばってくれた。
あたしはアユムの腕の中で泣いた。
でも、生徒の数が増えるので、アユムはあたしに自分のタオルを頭からかぶせて自転車にのせて走り出した。
そして近くの公園であたしをベンチに座らせてくれた。
「落ち着いた?」
「…うん、ごめんね」
アユムは隣に座りながら笑顔で言った。
「なにがあったか分からないけど、俺はゆうの幸せを思ってるよ」
そしてあたしの頭に手を置いた。
その優しさにあたしはまた涙をこぼした。
今度は、おお泣きしてしまった。
泣きながら、あたしは言った。
「なんで…、そんなに優しい…の…?」
グシャグシャの顔であたしはアユムに問いかけた。
するとアユムは
「ゆうが、スキだから」
っぅ………-――――。
どうして?
こんなに思ってくれる人のことを好きにはなれないのだろう…。
どうして、レイタのことしか頭にないのだろう。
嫌になる。
もう、いい加減アユムのことをスキになりたいよ。
あたしは、アユムの腕の中で泣いた。
夕日が優しく照らしていた。