大嫌いで、大好きな君
次の朝、あたしは玄関を出ると、いつものようにアユムがいた。
「大丈夫」
「うん、平気」
そしてあたしはいつものように自転車にまたがった。
これが最後だとかみ締めながら。
いつものように学校に着いた。
でも、そのとき
「アユム…」
「ん?」
いつものように笑顔で振り返るアユム。
その笑顔に、言い出しにくくなる。
でも、もう最後なんだ…。
その笑顔があたしだけのものになるのは。
「今日、放課後屋上で話そう」
アユムは少し考えて
「いいね」
そう言ってあたしの手をつないで校舎に入っていった。
アユム…。
この優しくて大きな手、スキだった。
でも、やっぱりレイタ以上にはなれない…。
この大きな手につながれているより、
ペンを拾ってもらったときに、ふにに触れた指先のほうがドキドキした。
おかしいね。
こんなにも好きなんだ…。