大嫌いで、大好きな君
学校に着き自転車を置いて学校に入った。
すると、玄関の壁にもたれかかっている見慣れた人影がいた。
「アユム…」
「おはよ、ゆう…」
アユムはあたしの声を聞くとこっちに向かってきた。
どうしてだろう?
あたしは普通にアユムの前までいった。
まるで、周りから見ればまだ付き合ってるみたいに。
あたしまだ甘えてる…。
「ちょっといい?」
アユムは少し低く、でも優しい声でそういった。
あたしは返事ができず、ただうなずいた。
アユムはあたしの行動を見て、あたしの腕をつかんで歩き出した。
向かった場所は屋上だった。
風が吹き抜ける屋上に、影があるところに座ったアユム。
あたしも隣に座った。
人、1人分あいた間隔。
だって、もう隣に座る意味がない。
少しの間の沈黙。
アユム、あなたはなにを考えているんだろう。
まっすぐ前を見つめながらそんなことばかりを考える。
そんなときアユムが口を開いた。
「俺は…」
「なに…?」
「俺は傷ついてもいい。だから別れたくない…よ、」
力なく言うアユム。
きっとあたしが言う答えが分かってるんだよね…。
だから余計に言うのが辛いよ…。
「ダメだよ…」
「どうしたら、考え直してくれるの?」
強い言葉でアユムは言ってきた。
そんなアユムにあたしは首を横に振った。
泣きそうな顔のアユム。
でもあたしは考えを変えない。