絶対彼氏


そう言って出口に向かう
その間、どちらも何も喋らず気まずい空気が流れていた

意外にも出口は近かった
けれど私には凄く長く感じた

外に出ると時刻は夜の7時15分
閉園時間は8時だから、乗れる乗り物はあと1つくらいしかないだろう

「ねぇ、観覧車乗ろうよ?」

「…いいけど」

遊園地と言ったらやっぱり観覧車だよねっ!

「お待ちの方どうぞ」

5分ほど待ったところでやっと観覧車に乗れた

向かい合うように座ったのは良いけど気まずい

話すことが無いからおもーい沈黙が流れる
何となく真っ正面に座る紫苑の顔が見えなくて視線を外に向ける

外は町の明かりでキラキラしていて思わず声が漏れた

「うわぁ、綺麗…」

「お前って表情がコロコロ変わるよな」

頬杖をつきながら、私の方を見て言うから目があったとき、ついドキッとした

…色っぽい顔…って何考えてんの、私!

「だって凄い綺麗じゃん!」

「さっきまでお化けが怖いとか言って泣いてたのに、観覧車に乗って夜景見ただけで目輝かせて…お前は子供かよ」

何故か呆れられた
呆れられたけどその顔は笑っていた


――――――

「あぁ、もう閉園時間かぁ」

観覧車を降りてゲートに向かう

閉園時間まで残り僅かな為、人も少なくなっていた

つまんないの…
もう帰んないといけないのかー
時が経つのって早いよなぁ…

なんて年よりクサイことを思いながらゲートを出た



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