絶対彼氏


その人を見た瞬間、私は手に持ってた鞄を落とし、時間が止まったかのように動けなくなった


(う…そ、なんでここに居るの…)

幸い何十メートルか離れていた為、向こうは私に気づいてない様子

「…り、瑠璃!」

ハッと我にかえると、紫苑が心配そうに私の顔を覗き込んでいた

「ごめん、もう帰るね。
送ってくれてありがとう。
すっごく楽しかったよ

それじゃあ学校でね、バイバイ」

鞄を拾い、急いで家に帰ろうとすると誰かに呼び止められた

「成宮?」

この声は紫苑の声じゃない
第一、紫苑なら瑠璃かお前って呼ぶし…

振り向くとさっきまで遠くにいた彼が私の方へやって来た

近付いてくるとやはり彼だって言うことが分かった

「き…り?」

「久しぶりだな!」

ニッと笑うその笑顔は昔と変わってなかった

「ほんとに久しぶり…だね」

声が震えてることが自分でも分かった

「そっちの人は彼氏?」

「え、と…」

「俺とまだ別れてないのに付き合うなんて二股だな」

「私は別れるって言ったじゃん!」

そう、彼は私の元カレ


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