絶対彼氏


鈴夏ちゃんを起こさないようにそーっと襖をあけ、廊下に出る

少し歩くと縁側があったのでそこに座りぼーっとしていた

「何してんだよ」

「寝れないから風に当たってるの」

ふぁ…と欠伸をしながら目を擦る
眠いけど寝れないんだよね

「そんなに眠そうなのに寝れないとか…」

「色々あって考えてたから寝れないのよ」

「ふーん」

興味なさげに言いながら私の隣に座る紫苑

「あ、1つ聞きたいことあったんだ」

「なんだよ?」

「紫苑の家って何なの?」

これが一番眠れない理由
気になるんだもん

「普通の家」

「何処が普通なのよ!?
こんなに広いのに…普通は有り得ないから」

普通って言うのは私の家みたいなことを言うんだよ

って言いたかったけど止めとこ

「日本舞踊」

「…は?」

我ながら間抜けな声
日本舞踊ってあの日本舞踊…?

「俺の家は代々、日本舞踊やってんだよ」

「じゃあ紫苑もできるの?」

「当たり前」

…似合わない…

「じゃあ紫苑って…日本舞踊の跡取り息子なの…?」

「日本語変だぞ」

「う…五月蝿い
私は理数系なの!」

「日本舞踊だけじゃなくて、茶道に花道…一応なんでもやってるぞ」

「すご…」

ヤバい
開いた口が塞がらないってこう言うこと言うんだよね

< 95 / 120 >

この作品をシェア

pagetop