学園プリンセス☆【短編集】

気づいていたけど気づかないフリをしていた。

しーちゃんの声が聞こえてから、ここに登ってくるまでに
オオカミさんの体が動いていたこと。


「おーなんだー!ちーちゃん、林檎に変なことしなかっただろうな?」

「・・しーちゃんそんなこと大神君に失礼だよ」


そっけないように返事をしてても・・・

「ばーか。してねーよ。」



どこか優しげに答えるところとか。


「どしたの林檎ー?なんかふくれっつらだよ?」


「別に・・何でもないもん」


私がそれに嫉妬していることとか。






「しーちゃんも、メイちゃんも、林檎ちゃんも・・・ちーちゃんも
教室に行かなきゃダメでしょ?」


「うわあ!!めぐいつの間に?!」

いつからいたのか、われらが学校の王子様若王子恵までいらっしゃった。

「王子いつの間にいたのー?」


「え?…ふふ内緒だよ。」


う・・笑った顔がとても眩しい。
これが王子様パワーね!


「めぐ、てめーもどさくさに紛れてちゃん付けしてんじゃねーぞ」




「なんでえー?いいじゃん。俺ら幼馴染でしょー?」



オオカミさん、しーちゃん、王子は幼馴染。
だからこの二人は怖い噂がつきまとうオオカミさんを恐れずに
ちゃん付けしたり、気軽に話かけたりする。


「・・とりあえず、林檎教室に戻ろう?」


メイちゃんは、オオカミさんが怖いのかさっきから目線を外してばかり。
そんなオオカミさんもメイちゃんが怖がっているのがわかっているから、なるべく見ようともしない。



そんな気遣いができる、本当はこころの優しいオオカミさんなのに。
なんでみんなには理解してもらえないのかな?
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