初恋

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「…っと、こうして愛里ちゃんのファーストキスは奪われ、ハートも奪われましたとさ、ちゃんちゃん♪」


あぁもう帰りたい…


満足そうにミーハー野郎があたしのファーストキス話を締めくくる頃には、お山のお猿もびっくりなほどにあたしの顔は真っ赤っ赤だった。


「でも…山田くんもずいぶん大胆っていうか…小１なのに…マセてたのね…」

「本当、３つ上のお姉ちゃんがいるとは言え、ねー。」

「しかもその後教室でさー、愛里は僕の女だからいじめるやつは許さないぞーって！」

「あーそれ彩もみてた！！山田くんかっこよかったー！ねぇ愛里ちゃん！」


あたしは更に真っ赤になって俯いた。

確かに、あれはちょっと結構かなりかっこよかったけど…


「もーやだ愛里そんなに赤くなっちゃって！って、あ…うわさをすればっ♪」


ミーハー野郎の視線の先を辿ると、４月だっていうのに半袖半ズボンで、野球のグローブ片手に道路で石井俊とキャッチボールしながら歩いてくる男。


あたしのファーストキスを奪った男。




…山田航太がいた。