初恋

退屈な始業式が終わると、前年度の席に着席したあたしたちの教壇に、前年度と同じ顔の担任峯岸藤子が立った。


「はい今年も担任の、峯岸藤子です。よろしくね~。」

「フージコちゅわぁぁぁん!」


お調子者の石井が某怪盗三世の真似をすると、クラスがどっと沸いた。

前年度からお決まりのパターンだ。


「はいはい、とうこですからね!と・う・こ!」

「フージコちゅわぁぁぁん!」


まったく、あんなやつに2年も片想いしてるみーちゃんの気がしれない…。

まぁ、あたしもたいして変わらないけど。


…あいつの方をチラッと見ると、一瞬視線がぶつかって、すぐに逸らされた。

いつもそう。

何故かよく目が合うのにすぐ逸らされてしまう。

あたしのこと嫌いなのかな…。

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