初恋
「でもさー今日から新学期って言っても、なーんかパッとしないよね~。」
女子で一番背の高い白井みづほが言った。
「だってさ、クラス替えもないし、担任だってまたフジコなんでしょー?」
「とーか言ってぇ!みーちゃん本当は嬉しいくせにっ!石井と同じクラスだよー!もう卒業まで一緒だよー!二人を引き離すものはもう何もありませーん!だよぉ!」
うちのグループの恋バナ番長新田穂香が茶化すと、みーちゃんはみるみるうちに真っ赤になった。
THE恋する乙女!
身長162cmの恋する乙女!
「ちょっとやめてよ!石井とか別に…カコの人だし!」
「またまたぁ!みーちゃんが小4の時から石井ひとすじだってみんな知ってるから!」
「えっ!みーちゃんって小4の時から石井くんのことスキだったの!」
スギちゃんが大きい目をさらに大きくしてみーちゃんの手をとった。
「ちょーっとスギー!なんで気付かないのぉ!バ・レ・バ・レ!だったじゃん!ね!愛里!」
「…えっ!う、うん!」
「えー彩だけ知らなかったんだショックー!」
スギちゃんはまたまゆげを八の字型に下げ、みーちゃんの両手をブンブン振った。
あぁ…可愛い…
とっさに聞かれたからうんとか言ったけどあたしも知らなかったよ!スギちゃんだけが知らなかったわけじゃないよ!
心の中でフォローを入れる。
てか、なんで穂香は知ってるんだ?
恐るべし新田ミーハー穂香!
穂香の情報量は学年1で、多分誰が誰を好きだとかそういうのは全部知ってるに違いない。