初恋
「ねぇ…まって!」
保健室の扉を閉めると、愛里は航太に繋がれた手をぎゅっと引きよせた。
「なにときとーさ…」
ちゅ―
ほんの少しだけ愛里より背の低い航太の頬に愛里はそっとかがむようにしてキスをした。
「ありがとうの…だから…」
そう言って教室へ向かおうとする愛里の手を、今度は航太が引きよせた。
「…ちがうよ。」
「え?」
ちゅ―
「ありがとーなら、こんくらいしろよ…あいり。」
そう言って航太は驚いた顔で唇を押さえる愛里の手を離し、保健室を後にした。
その頬は愛里と同じくらい、赤く染まっていた。