アイツに彼氏が出来た。
「ゆう、お疲れ。」
ゆう、というのは優、つまり優太のことである。
琴美が優太を呼ぶ時の愛称だ。
いわば、彼女専用の愛称。
「うん」
と答えて、そのまま琴美と俺の間に座り込む。息が切れてぐったりと背中をベンチにもたれている。
まぁ、待ち合わせの時間ジャストなんだけど、時間の15分前ぐらいには来る優太の場合、かなり焦ったのだろう。

「あ、そういえば。優太」

「何?」

「お前と琴美が付き合いはじめてからどれぐらい経ったか覚えてるか?」
「は?三ヶ月と六日目。」
即答された。

……………。

「「あっははははは!!」」
同時に、琴美と吹き出して爆笑する。

「は、何?何で笑ってるんだ?」

「は、ぶははっ、優太、お前やっぱ最高…!!」
「は?いやだから、意味分かんないし」

「っく、優、ごめ、ていうかありがと!優太のそういうとこ好きだー」
琴美は笑いながら優太に軽く抱きつき、
「え、あ、うん…?」
とはてなマークを浮かべて照れながらも受け入れる優太。

「おいこら!公共の場でいちゃついてんじゃねぇ!!つか、俺の前でイチャイチャするな」
てい、と足で優太の足を蹴る。
「痛ぇ!」
さほど強く蹴ったわけでもないが(だとしたら本気で怒られる)、リアクションとして反応してくれる友達。

それを見て、叱るどころか便乗して「ぷにー」と自身の彼氏の頬に攻撃(?)を繰り出す琴美。

背もたれに体を深く預け、空を見上げた。

うん。
俺はコイツらが、大好きだ。
ついでに空が蒼いぜ馬鹿野郎。
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