zinma Ⅰ
「それでさ!今日は何して遊ぶ?」
テマが遊びたくてたまらないように、待ちきれない様子で言う。そして僕に、えへへと笑ってから、
「ちなみにあたしは
イルトといっしょならなんでもいいよ!」
と言ってくれる。それに僕は微笑んで、ありがとうと言おうとすると、それをナギキがあきれたように遮る。
「テマはいっつもそれだろ。」
「だってテマはいっつもイルトといっしょがいいんだもんっ。」
「はいはい。でも俺はテマの家で遊ぶのは嫌だよ。
せっかく晴れたんだから川で遊ぼうぜ。」
「えーっ!!」
ナギキとテマは家もとても近くて、いつも兄妹のように仲が良い。どれだけ喧嘩しても、結局はだれよりも仲良しなふたりを見ると、自然と笑いがこみあげる。
「ナギキもテマも落ち着きなよ。
今日は一日時間あるんだから、全部やりゃーいいじゃん。」
とラニテイがなだめる。それにナギキもテマも納得したような顔になる。それを確認してからラニテイが、次は僕とシューのほうを見て、
「シューとイルトも今日は一日遊んでていいってアルマおばさんに言われたんだよね。」
と聞く。それにシューが、
「えっ…と……」
と、困ったような顔になるので、不思議に思ったものの、僕は答えた。
「そうですよ。アルマさんが今日は手伝いはいいって言ってくれたので。」
それにラニテイとナギキとテマが、じゃあ何からやろっかーと話しながら歩き始める。僕もそれに着いて行こうとして一歩出したところで、
「だ、だめ!!!」
と、シューに腕をつかまれる。ラニテイたちが驚いた様子でこちらを振り返り、僕も驚いてシューを見る。するとシューは怒ったような、それでいて照れたように赤い顔をしてうつむく。そして小さな声で、
「…今日は、だめ。」
「え?」
と、僕が聞いて、うつむいたシューの顔をのぞこうとすると、シューは僕の腕をぎゅっと握り直し顔を上げて、ラニテイたちに向かって叫ぶ。
「き、今日はイルトとふたりだけで遊ぶのっ!!!」
そして僕の手を引いていきなり走り出す。
「え?ちょっと…シュー?!」
と僕は、急に引っ張られたのでつまずきそうになりながらも、シューといっしょに走った。