zinma Ⅰ
箱の平和
村は淡い明かりに照らされていた。
この地に伝わる伝統のいろんな色をした蝋燭に点された明かり。
その蝋燭が村中に置かれ、それは秋の収穫祭のように村は飾り付けられていた。
その様子を見て、僕もシューも言葉を無くしていた。
ようやくシューが、
「え?あれ?今日ってお祭りだっけ?でもまだ収穫には早いのに…」
と、あわてている。それに僕も混乱していると、アルマさんがこちらに歩いてくるのが見えた。
「おかえり。シュー、イルト。」
アルマさんはいつもよりも少し楽しそうな様子でそう言った。
それにシューはアルマさんにかけより、
「母さん!今日って何かあるの?」
と聞く。するとアルマさんはそのままシューの頭をなでて手をとると、僕のほうを見て言う。
「さ、イルト。村のみんなが待ってるわ。いらっしゃい。」
僕は意味がわからなかったけど、いつものように優しく微笑むアルマさんを見て少しだけ安心して、そのまま着いて行った。