zinma Ⅰ
死劇の開幕ベル
機の来訪
次の日も朝早く起きてアルマさんの手伝いをした。
朝食前にシューを起こしに行こうとしたがアルマさんに、
「昨日の夜は遅かったから、もう少し寝かせてあげましょう。」
と止められた。
アルマさんは僕にも、また寝てもいいと言ってくれたが、目は覚めてしまったので、焼きたてのパンとチーズをもらって森に向かった。
やけに霧が濃い日だな、と思いながら、慣れた手つきで少し高い木に登ると、太い枝にまたがってパンを食べた。
これは僕のお気に入りの朝食の取り方だった。
森の新鮮な朝の空気を吸って、朝日が昇るのを眺めながら焼きたてのパンを食べるのは、僕にとってはこれ以上ない贅沢だ。
月に1回あるかないか、シューが起こしても起きてこない日は、こうすると決めていた。
するとそのとき。
がさっと草が揺れる音がした。
森に慣れていた僕は、草の音だけで、ある程度どの動物かわかるようになっていた。
しかし今回はなんなのかわからなかった。
聞いたことのない音だ。
僕はなぜか緊張して、枝の上で息をひそめた。
また草が動く。
次はもっと激しく。
明らかに何かが近づいてきている。
近く。
近く。
近く。
すると。