zinma Ⅰ
声を出せないでいると、女の人が僕の反応を待たずに続けた。
「お前があのとき使ったチカラが何かは説明が長くなるから今は言えないが、とにかく魔術ではない。」
でも、と言おうとするが、それを遮るように畳み掛けてくる。
「何より今私が使ったようなものではなかっただろう?」
もう声もでない。
僕は、あの日魔術を使ったからと、あの場所へ送られたのに。
それじゃああの3年間はなんだったんだ………?
「私たちは、お前のその魔術とはちがうチカラに用があってここまで来た。」
そこでそれまで黙っていた男の人が口を開いた。
「もちろん2年前に君が味わったようなことはしないよ。ただ……」
と、そこで一度言葉を止め、僕の目を強く見つめる。
「そのチカラのことについて、君に教えに来たんだ。」
ますますわからない。
僕のはマジュツじゃない。
でもチカラはある。
この人たちはそれを教えに来た。
ほかに何をするでもなく。
だから僕は聞いた。
「………教えて、どうするんですか?」
それに男の人は目を細め、ひどく悲しそうな顔をする。
女の人も少しだけ困った顔をしてから、静かに答えた。
「私たちの使命は、お前を支え、お前を導くことだけだ。だから………
………そこから先を決めるのは、お前だ。」