zinma Ⅰ
先に口を開いたのは女の人だった。
「………来たのか。」
それに僕はうなずいて、答える。
「…知らないままだと、僕は僕がナニなのかわからないから。どうせ化け物に変わらないなら、自分を知っておきたいんです。」
強がりなんかじゃなかった。
この3日間ずっと考えて決めた。
それに、自分がなんなのかわかったら、自分の5年前のことも、普通に思い出せるようになるかもしれない。
今だに、僕がチカラを使った日のことは、いまいち思い出せない。
親の顔さえ………
それに女の人は、そうか、と短く答えると、僕に近づいて来る。
そして僕と視線を合わせるようにしゃがんで、言った。
「……お前の持つチカラは、魔術よりももっと協力で、残酷だ。」
それに決心が揺るぎそうになるけど、なんとか勇気を奮い立たせる。
それを確認すると、女の人は言った。
「お前のチカラは………」
と一度止める。
女の人は一度僕から視線を外しうつむいてから、覚悟を決めたようにまた僕を見る。
重く。
口を開いた。
「『神』を殺す、チカラだ。」