zinma Ⅰ
悪の誕生
神様の存在について、考えたことはあった。
例えば何か願い事があったとき。
例えばすごく幸せだったとき。
例えば自分の存在を恨んだとき。
事あるごとに神様に話しかけ、願い、呪った。
でも、別に本当にいるとは思っていなかった。
だってもし本当にいたら。
本当に神様がいたら。
こんなひどい仕打ちはしないだろうと。
もっと素晴らしい世界を作ってくれるだろうと。
信じていたから。
その神様がいるんだという。
本当に存在するのだという。
しかも僕はその神様を殺すために産まれたんだという。
神様が創ったこの世界に。
神様を殺すために僕が創られた。
なんと。
馬鹿らしい。