zinma Ⅰ
…………死んだ?
『選ばれしヒト』が?
それも『呪い』に負けるのではなく。
『神の呪い』に
侵されて?
言葉をなくす僕の正気を留めさせるかのように、男の人は強く、僕の両肩をつかむ。
「『神の呪い』は、たくさんに分離した『呪い』とは違い、たった一人の『ヒト』に、そのままの大きさの神の力を入れるものだ。
それはもともと『ヒト』である『選ばれしヒト』にとっては、ひどい負担になるんだよ。」
思わず、右手の中のお守りの石を強く握る。
急に自分の身体へと意識がいく。
この中にある、『神の呪い』。
今も、僕を侵しているのかな。
「さらに『選ばれしヒト』の任務は、その力をもってして、『呪い』を食べ、自らの身体に『呪い』を貯めていくことだから。
任務を遂行すれば遂行するほど、身体の中の神の力が大きくなっていくんだ。」
いままでの『選ばれしヒト』を思う。
どんな気持ちだったのかな。
いまの僕と同じかな。
「私たちの祖先の記録では、上手く『呪い』を集めれば、『選ばれしヒト』の身体も強化されて、最後まで集められるらしい。」
「ただ今までの『選ばれしヒト』は………上手くいかなくて、それで…」
そこで男の人はもう何も言わなくなる。
僕の両肩をつかんだまま、うつむく。
女の人は、僕を哀れむような目で見ている。
僕はただ、いま教えてもらった情報を頭の中で整理する。
あまりにひどいから、逆にもう冷静に自分のことを考えられるようになっていた。
僕は『選ばれしヒト』。
『神の呪い』によって『呪い』を殺す任務を与えられた。
『神の呪い』は自らも侵す。
先代の『選ばれしヒト』はみんな失敗して、死んでいった。
なるほど。