zinma Ⅰ
神殺しの神遣い

神の前進





世界が、変わった。






いや、実際には世界は変わっていないのかもしれない。





僕が変わったんだ。




いまの僕に見えている景色は、今までとはまるで違った。



色はより鮮明に。


空気はより濃く。



そして






世界を覆いつくす神の力が。




いまの僕には見える。




もうさっきまでの世界には戻れない。


僕はそれに少しだけ、寂しくなる。


ついさっきまで感じていた、この森の空気の清らかさや、夕日の美しさ。水面の輝きや、自然の温かみを、もう味わえない。


なぜなら僕には見えるから。

この自然の、見たくない部分まで。






そこで僕は視線を目の前へと移す。


そこには2人の男女が立っている。


僕に神の存在を伝えた2人。

僕の存在を知っている2人。



その2人が驚いたような、おそれるような顔で僕を見ている。



僕の変化に、気づいているようだ。


そういえば今の僕は



ちゃんと人間に見えているだろうか?






そこで女の人の表情が変わる。

いつもの無表情になって、言う。




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