zinma Ⅰ
「………覚醒したみたいだな。」
それに男の人は困ったように微笑んで、うなずく。
「そうみたいだね。」
それに僕は聞く。
「僕の『神の呪い』は眠っていたんですか?」
それに女の人はうなずく。
「ああ。産まれたときから力に目覚めると、それこそ身体がもたないからな。
運命を受け入れてから、目覚めるようになっている。」
だけど僕には疑問が残る。
「でも僕は5年前に、一度この力を使っています。だから、捕まったんです。」
そう言うと、女の人は少し考えこむようにうつむいてから、答えた。
「……おそらく、それはお前の中に眠る『神の呪い』が無意識に反応したんだろう。
そのとき、故意に力を使ったんじゃないだろう?」
と聞かれるので、記憶をたどる。
今まで、恐怖でずっと思い出せなかった記憶。
今では、なぜかあっさりと思い出すことができた。
あの日。
僕が僕を人間でないと認識したとき。