zinma Ⅰ



そこで僕はアルマさんと別れた。

カリアとファギヌは、出発までの一週間の間、アルマさんの家でお世話になることになったので、そのために、夕飯の準備をしに行った。


何より僕が、これから最後にあいさつに行く人たち。


テマの家にいるという、ラニテイ、ナギキ、テマ、そしてシューには、僕から話がしたかった。





テマの家に着くと、みんなが走って迎えに来てくれた。


テマがいつものように抱き着いてくる。


「イルト!!元気になったんだね!」

「全然遊ばないから心配したんだぜー」

「やっと5人で遊べるね。」


テマとナギキとラニテイが次々と僕に話しかけてくれる。

そして最後にシューが、ほんとに嬉しそうな、それでいて泣きそうな笑顔で僕に言う。


「ほんと……よかったねぇ。」



それに僕はみんなに、


「心配かけて、ごめん。
ありがとう。」

と答えると、3人はまた嬉しそうな顔をした。



するとナギキが言う。

「それにしても、一体何があったんだよ。風邪だなんて嘘だろ。」

と、おどけた様子で言うナギキに僕は少しだけ笑って、すぐに顔を真剣なものにして答えた。



「そのことなんだけど。」


それにテマとナギキとラニテイは、これから僕の言うことを、全く想像できてないように、いつもの楽しそうな顔で僕を見る。


ただ一人、シューだけが、いつもと違う僕の雰囲気に気づいたように、不安げな顔でこちらを見る。




「僕、この村をでます。」







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