zinma Ⅰ
古民の里
この村の朝は早い。
この村の人のほとんどが農作業によって、自分たちの生活を支えているからだ。
毎朝日が昇るころには、村中の大人たちが行動を開始している。
僕とシューが村に出たとき、もう村中の人たちが仕事を一段落終えて、村の中で穏やかにすごしているところだった。
一歩村を歩くと、村の人たちがみんな話しかけてくる。
さらにシューは村でも評判だから、大人も子供もシューのことを特に気にかけてくれていることが、たかだか1年この村を歩いている僕にさえ、明らかだった。
「あら、イルト。シュー。
おはよう。」
「今日も仲が良いのね。」
「おはよう!今日もパン屋行かせてもらうよ!」
「おはよう」
声をかけてくれるすべて村の人たちに、シューは毎日満面の笑みで答える。
「ナナおばさんおはよー!」
「おはよう、サーバさん!」
「ゲイリスおじいちゃん元気?」
「ナムさん、お疲れさま!」
このシューの毎朝のあいさつ回りのおかげで、僕は村の人の名前を覚えた。そしてそんな村の人たちも、シューのおかげですぐに僕を迎えてくれた。
この朝のあいさつも、僕の大切な時間のひとつだった。