5通のラブレター




彼との出逢いは1週間前のこと。
ある日、私と同じ病室に一人の名札がかけられていた。
−日下凜歩。

病室に入ると足を吊り下げている男の子がいた。
きっと骨折か何かだろう。
その子は私を見て、
「あっ、同じ病室の子?」と微笑んできた。

−ドキッ
私は不覚にもその笑顔に
胸が高鳴った。
男の子なのに肌が白くて、目がぱっちりしていて、筋の通った鼻、口角があがって愛らしい口。
その笑顔からは何とも言えない優しさが伝わってきた。

「えっ、あっ、はい。」

「よかった!優しそうな子が同じ病室で。あっ、日下凜歩だから。よろしくね!」

−ドキッ
まただ‥。

「あっ、私は秋原莉音。よろしくね‥。」

「莉音ちゃんか!いい名前だね。」

「本当?ありがとう!」

何だろう‥。
すごく嬉しい。
名前褒められたくらいで
喜んでるよ私。
どうしちゃったんだろう‥
うっ‥やばい‥発作が。



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