【完】風に恋をする。
「世界? なに、本格的に夢でも見始めたの?」
「夢かどうか、走りで見せてやるよ」
「…ッ」
「啓、忘れんなよ。
ウチの天才くんは、世界のテッペンに立つ男だ」
胸が、
ドクンと音をたてた──…。
啓くんは「ちっ」と舌打ちをして、どこかに行ってしまった。
「健…」
「ん?」
「…なに喧嘩売ってんのよ…」
「ははっ! いやぁ、あいつも去年とかわんねーなー!」
「笑い事じゃないっつの!!」
「風馬にライバル心剥き出し! 可愛いー!」
「…あんた、大丈夫なの?」
「俺? 大丈夫だよ。まぁ、あいつには勝てないだろうけど」
「…」