【完】風に恋をする。
ー健sideー
「いちについて、よーい」
スタートの合図と同時に一斉に走り出す。
スタートからトップを走るのは…やっぱり風馬だ。
風馬…お前はいつも俺の前を走る。
部活でも、勉強でも、恋愛だってそうだ。
俺が教えて、俺が見つけて、
それをお前は奪って、超えて行く。
そんなお前に、嫉妬した時だってあったさ。
だけど、今はそんな子供じゃない。
今は…ただ、羨ましいだけなんだよ。
誰よりも早く、誰よりも前を走る、
そんな後ろ姿が…
羨ましくてしかたないんだ──。