【完】風に恋をする。
「風馬、めっちゃくちゃ鈍感だから、苦労すると思うぜ〜」
「…?」
どん、かん…??
あたしがハテナマークでいっぱいにしていると、
雅弘くんは、優しく笑った。
「風馬とは競いたいけど、俺は自分がやりたい事をやりたい。俺には、5000を走る体力ないし、今は、風馬だけじゃなくて、健や海道だっている。俺には、ちょっとキツいんでね」
「そんな…っ諦めちゃ…」
「諦めてるんじゃないさ。ただ、俺は自分に合った道を進むんだよ。
風馬の出した記録、絶対超えてやる」
雅弘くんの目は、とても…力強くて、奇麗だった。
…あたしは、この目が好きだ。
ここの陸上部の人は、皆こういう目をしてる。
真っ直ぐで、
とても綺麗な瞳──。