【完】風に恋をする。
翌日、あたしはいつものように窓から外を見る。
いつも目に入るのは、
風馬だ。
風馬は、走るのがすごい速い。
きっと、あの大勢の人の中で、一番速いんじゃないかって思う。
「今日も見てるのかい?」
「…進藤さん」
「背中、いいか?」
「ぁ、はい」
あたしは窓から目を離し、いつも通りに背中を出す。
「…今日は、調子がいいみたいだね」
「…」
進藤さんは優しく笑った。
そして、優しく言ったんだ。
「明日も同じく体調が良かったら、
外に出られるよ」
え…。