【完】風に恋をする。
昨日の海辺に行けば、風花は目を輝かせた。
「やっぱきれー…」
「地元の海だぞ?」
「あたし、テレビでしか知らなかったから」
ぁ…そっか。
結局…俺って、コイツの事なんも知らないんだよな。
嫌いな食べ物も、
好きな食べ物も、
苦手な事とか、
得意な事とか。
何も知らない。
「ねぇ、話って…なに?」
「ぁー…その前に、いくつか…いいっすか?」
「なに?」
「…風花の事教えて」
「…へ?」
「好きな食べ物はナンデスカ」
「え? え?」
「残りの一ヶ月、風花の事何も知らないで過ごすのは嫌だ」
風花は少し目を丸くしたけど、クスッと小さく笑った。