【完】風に恋をする。
待合室のドアが開く音がした。
「よっ」
「健…」
「これで優勝しても、世界には行けないぞー」
「んなの知ってる」
「…」
「それでも、優勝したら、確率が確実に高くなる」
「あぁ」
「あいつのために、俺は走るんだ」
「…お前も溺れてるよな」
「相当なっ」
「…頑張れよ、風馬」
「なにライバル応援してんだよ」
「俺もさ、知りたいんだ」
「世界ってやつの広さを」
力強く、真っ直ぐな目で、健が言った。