【完】風に恋をする。
【あいつは”風”だよ】
翌日の朝、あたしは進藤さんに診てもらった。
「うん、大丈夫だ。今日は外出してもいいよ」
「ほんとう?! ありがとう、進藤さん!」
「その代わり、約束してもらうことがある」
「やく…そく…?」
「一つ目、無理な運動は絶対しない。走るのもダメだ」
「…はい」
しょうがない。
こんな体だから、しょうがない。
「二つ目、必ず日傘をすること」
「なんで…?」
「暑さは体力を奪うからね。水分補給も忘れちゃだめだよ。お茶をちゃんともっていきなさい」
あたしはコクンと頷いた。
「最後に。具合悪くなったりしたらすぐに病院に電話すること。いいか?」
「わかった。約束するよ」
「よし。じゃあ、日傘はこっちで用意してあるから」
「ありがと」
あたしは荷物をまとめて、部屋をでた。
「いいんですか、先生…外出なんて許可して…」
「大丈夫さ。それに、彼女はもう少し、人と関わった方がいい」