【完】風に恋をする。
「人と、って…あの子達ですか? いつもお見舞いにきてくれる陸上部の…」
「あぁ。もしかしたら、
彼女の命に、キセキを起こしてくれるかもしれない──」
「ぇ…」
「これからはできるだけ外に出すようにしてあげて。
彼女、病院の人たちともあまり話さないでしょ」
「ぁ、はい…。話しかけられても”はい”としか…」
「ははっ! …そんな彼女が、この前笑ったんだ」
「ほ、ほんとうですか…?! 今までみたことないのに…」
「それだけの力があるんだよ。彼女にとって、人との関わりは」
「…そうですね。もしかしたら、ほんとうに、
キセキがみれるかもしれませんね」