【完】風に恋をする。
「ちょっとー! 練習もう始まる時間、って…誰?」
小さな小屋??
みたいなところから、黒髪でポニーテールの女の子がでてきた。
たぶん、同い年ぐらい。
「この前健が言ってた子ー」
「…あぁ! 見学? ゆっくり見ていってねー!」
「は、はい!」
うわぁ…優しいなぁ…!!
あの子も走るのかな…??
「そこのベンチ座って。日陰の方がいいでしょ?」
座って、と言われたところは屋根があって日陰になっている。
「あ、ありがとうございます!」
「敬語なんて使わなくていいよー! あたし、日笠 佳織! みんなから、”ヒガ”って呼ばれてるの!」
「ヒガ、ちゃん…?」
「佳織でいいよ! ヒガでも良いけどっ!」
「…かおり」
「風花でいい?」
「う、うん!」
名前呼び…!!
女の子から名前で呼ばれるのは初めてで、嬉しさが心をいっぱいにしていく。