【完】風に恋をする。
「この花はヒマワリ」
隙間から向かい側を見ると、深く帽子を被っている男の子。
「そっち行っていい?」
「ぁ、は、はい…」
男の子は、校門をくぐり抜けて、あたしの隣に来た。
「知らない? ヒマワリ」
「は、じめて見ました…」
「ふぅん。珍しいね」
「…あたし、今まで病院生活だったから」
「そうなの?」
「はい…」
「そんな人が沢渡の陸上部にいるなんて聞いた事なかったけど…」
「ぁ、あたし陸上部じゃないです! 沢渡高校の生徒でもないし…」
「…へぇ」
男の子はククッと笑った。