【完】風に恋をする。
「お前…」
「久しぶり、風馬。元気そうでなにより」
ぇ…知り、合い…??
「…お前、風花に何した」
「何も?」
「んじゃ、なんで風花が震えてんだよ」
「なんもしてないって。俺、高校と名前教えただけだしぃ」
風馬は、納得したように、「あぁ」と呟いた。
「風花、大丈夫。コイツは、あいつ等みたいな野蛮なことはしない」
あたしの頭をそっと撫でる。
この大きくて、温かい手が好き…。
心が、落ち着いて行く。
「ねぇ、名前なんて言うのー?」
「ぁ…野原、風花…」
「風花チャン、か。風花はマネージャーかなにか?」
あたしは首を横にふる。
「じゃあ…なに?」
なに…なんだろう。
あたしは、沢渡高校陸上部の、なに──…?