【完】風に恋をする。
「風花は、俺らの大切な人だよ」
え──…?
風馬の思いがけない言葉に、あたしは目を丸くした。
「…ぷっ」
一瞬、目を丸くした啓くんも、突然笑い出した。
「あっははは!! お、お前に大切な人、ねー…。なるほど、なるほど。最近、沢渡のタイムが上がり始めたなんて噂の理由がわかったよ」
「あぁ? なんだそれ。つーか、お前何しにきたんだよ」
「ん? あぁ、そうだった。お前に言いたいことあってさ」
「俺?」
「今度の記録会、俺は5000を走る」