【完】風に恋をする。
「あのねぇ!」
「そうだなー、俺は風馬に勝てない」
声がした方を見れば、健くんが立っていた。
飛び出しそうな佳織の肩を止めて。
あたしも、佳織も目を丸くしている。
「よっ!」
「…久しぶりだな、健」
「お前は相変わらずだなぁ。ウチの天才くん、あんまいじめないでよ」
「お前だって5000で競いたいだろ?」
「まーなー!」
「…」
「確かにどんなに頑張ったって、”天才”には勝てないかもしれない。
だけど、啓、お前には勝てる自信がある」
「…はぁ? お前、なに言ってんだよ」
「お前、確かに”天才”だよ。だけどな、”天才”も努力しないと力は発揮されない。
ハジメ、見せてやるよ。
沢渡を目標にしてる欄西じゃ、世界を目標にしてる沢渡に勝てるわけない、ってな!」