私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
春樹と付き合いだしてから一ヶ月が経とうとしていた。

季節はもう秋の色合いが深まっている。



この日は私の31歳の誕生日だった。

春樹の寮にしばしば足を運んでいた。今日も一緒に夕食を食べることにしていたが、それはたまたまだ。


「はい、誕生日プレゼント」


そう言って春樹から渡されたのは、小奇麗に梱包された小さな箱だった。

外見から想像すれば、それはアクセサリーの類だろう。

「え、覚えてくれてたの」

確かに一度誕生日を教えてはいた。

が、それを忘れられるのが嫌で、あえて確認するようなことは言わなかった。

そのうち、仕事の忙しさで、私自身も今日が誕生日だということを忘れていた。


開けてみると、ペアのハートに小さな赤い石がついたペンダントだった。


「え、これルビー? 本物?」

「本物」


チェーンもよく見ればプラチナ製だ。このぶんならチェーン代のほうが高くつくだろう。

意外に値が張るのではないだろうか。

「高かった?」

急にもらうのに気が引けてきた。

「どうだろな」

春樹はあまり表情を変えない。それは逆に照れているようにも見える。


「ありがとう!」
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