私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
「おい、ずっと都合悪いんだよ。チンケな闇金がゴソゴソ商売してんじゃねえぞ!」

そして言うなり通話を切っていた。


緊張と静寂が、私たちの間にながれた。

春樹の表情が厳しい。

「どのくらい借りてる」

問い詰めるような口調だった。

腹の中まで見透かされたような薄ら寒さ。まさか、こんなことで気づかれるとは、思ってもみなかった。

こわばった私の顔に自分の表情を映したのだろうか、気がついたように春樹は表情をやわらげた。


「心配すんな、俺も借金返してる身だからな」


私ははっと顔をあげた。

そんな素振りは微塵もみせていなかったからだ。


「金融屋から借りるとすぐに情報が出回るからな。あんな連中が群がってくる。で、お前まさか、闇金じゃないだろうな」


その言葉を聞くと、鉛のように胸が重くなる。こんな話を、今日だけはしたくなかった。
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