私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
「まさか、普通の金融会社だよ」


そのとき私は、相当に不自然な笑顔をつくっていただろう。下のまぶたが小さく震えていた。

前例がある。

私が闇金に請求されていると聞いただけで、一郎はあっさりと私を捨てた。

春樹だって同じ事をしないとは限らない。少なくとも厄介ごとを抱え込んだと思うのは間違いないだろう。

男の負担にはなりたくなかった。だから、嘘をついたのだ。


それでも春樹は、その答えを聞いて安心したようだ。肩の力を抜いて大きく息を吐いた。


「それなら、まだ何とかなる。あいつら、食いついたら搾り取るだけ搾り取って、結局はそいつの人生を終わらせなきゃ気がすまない人種だからな」

そんな気はしていた。いつまで経っても、いくら返しても終わりそうにない。
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