私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
聞くだけで背筋が寒くなる話だった。何とか今まで払えていたのは、幸運なのかもしれない。

「いま残ってる借金は、闇金じゃないの」

「いちおう、まっとうな消費者金融のぶんだけだ。それでも払えなきゃ、債権が回収業者に回るからな。タチが悪けりゃ結局闇金と変わらない奴らだ」


お金に関して、世の中がどれだけ貪欲でシビアか、身につまされる話だった。


「全然知らなかった……春樹のそんな過去」

「話さないつもりだったけどな。借金してるなら闇金のことも知っとかないと……すまん。せっかくの」

「ううん、それより……お母さんは」


その質問をしてしまったことを、私は後悔した。

あまりにも重い答えだったからだ。



「天涯孤独だな。雪も、俺も」


私は何も言えなかった。

ただ、春樹は借金を作った父親をどんな風に思っているのか……


何故かそんなことが頭に浮かんでいた。
< 129 / 203 >

この作品をシェア

pagetop