私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
カウンターの前に立つと、なぜか膝が震えていた。

私は緊張しているのだろうか、それとも恐怖を感じているのだろうか。


カウンターの中に座るのは、かなり年配の職員だ。白髪の隙間から頭の地肌が露出していた。

「登録ですか?」

受付票を受け取ると、職員はまずそう言った。

「はい」

「新しく転入されたんですか」

「はい……というか」

答え難そうに言葉を濁すと、職員は眉をしかめて私を覗き込んだ。

「とりあえず住民票を」

そう言って伸ばされた手に、私は思わず身を引いた。

幸いカウンターで距離が離れてたからか、錯乱するほどではなかったが、それでもすぐに飲んだ息を吐き出せなかった。

軽い過呼吸の症状だ。

「どうしました、住民票です」

職員も困惑の色を見せていた。


(落ち着いて……落ち着いて)


自分に言い聞かせて呼吸を落ち着かせる。

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