私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
「大丈夫ですか?」

そう職員に尋ねられたときには、ようやく呼吸も収まっていた。

「すいません、大丈夫です」

「では、住民票をお願いします」

どう話せば良いのか、自分なりにシミュレートしていたつもりだったが、ここにきてそれらの言葉はすっかり頭から飛んでいる。


「あの、それが……ないんです」

「はい?」

「住民票はないんです」


職員は言葉を失って、しばらく私の顔を見つめていた。が、納得したように視線を落とすと、私の言葉を代弁した。


「つまり、この区にあなたは住民登録をしていない。ということですか」

「はい」

「だったら国民健康保険には入れませんよ。あのね、健康保険ていうのは、市町村での受付になるの。だから住民登録してなかったら入れるわけないでしょ。わかります?」

「……ですよね」

「ですよねって、そんなの当たり前でしょう。分かってるならちゃんと住民登録してくださいよ」

「それが、住居がなくて」


それを言うと、職員は大きなため息をついた。
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