私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
通帳に記帳されたその額を見て、私は指が震えた。

すぐさま電話をしたのは言うまでもない。しかし、電話にでた男は、しゃあしゃあと言い訳を始めただけだ。


『送っていただいた商品ですね、実は若干キズが入ってましてね。そちらで送る前にキズが付いたんだと思いますけどね。これじゃあお約束の金額ではウチも換金できないんですよ』

「そんな、買ってそのまま、箱も開けずに送ったんですよ」

『そう言われても、こちらには関係のないことですしね。まあ、これでもかなりサービスさせてもらってね、14万円を振り込ませてもらいました』

「そんな……」


このとき、私はだまされたことに気が付いた。


うかつすぎる。


自分の情けなさに涙が出そうだった。

『もしまだご融資をお望みならですね、当社が自信を持って……』

私は通話をそのまま切った。心がうつろだ。


(44万円が、14万円か)


リボ払いの金利まで含めると、どれほどの金利となるのだろう。これは闇金というより詐欺だ。


銀行を出る足がふらついた。



詰所へ行くと、さらに怒りが込み上げる事件が待っていた。


「あの、離職届けは?」


入構カードの返却をして、寮の退去の承諾書にサインしただけだ。

クビになったのであれば、離職票をハローワークに提出しなければならない。そのための書類を確認してサインをしなければならないはずだ。

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