私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
荒々しく脱がされた衣服がベッドから投げ出される。

あらわになった乳房をわしづかんだ相沢は、勝ち誇ったような目で私を見下した。

その目の色にさらされることには慣れているはずだ。

しかし、それを容認しているわけではない。


「……だ」


無意識なのか、私にもわからない。

ただ、胸の奥にしまっていた感情が喉をついて出ていた。

「嫌だ!」

もうなにもかもが嫌だった。

こんな男の欲望のはけぐちになることはもちろん、仕事も、ネットカフェに泊まることも、そして生きてゆくことさえも。

「もう嫌っ!」

相沢の手を無理やりほどくと、再び頬に熱い痛みが走る。

「静かにしろってのがわかんねえのか!」

何度も何度も、振り下ろす手が私の頬を、頭を殴りつけてきた。

でも、もう痛さも恐怖も感じない。

キレた子供のように、私は腕を振り回して相沢に抵抗する。

何もかも、振りほどきたい。何もかもから逃げ出したかった。


足掻けば何とかなるのだろうか。


もがけばどこかへたどり着くのだろうか。


直後、痛みとともにその答えは突きつけられた。
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