私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
ここは有名な大手の派遣会社だ。全国に営業所があるだけに、空き状況も日ごとに変化するのだろう。

最新の人員を確認して、ようやく戻ってきた。

「オッケーです。あと一人ですけどね、どうします?」

他の情報誌を見渡しても、ここ以上の条件はなさそうに思える。私はすぐに

「お願いします」

と、返事をしていた。


運良く仕事は決まった。しかし出発は明日だ。今日はどこかに泊まらなければならない。

このときの私には、ネットカフェという存在が、宿泊施設になりうることを認識していなかった。

(ホテルは高いしなあ……)


駅前にならぶビジネスホテルを見上げながら、あてどなく街を歩いていた。


そのうち日が傾いてきた。

携帯で時間を確認すると、すでに午後5時を過ぎようとしている。


夏という季節は私に味方してくれていたようだ。私は通りがかった公園で一日を過ごそうかと考えた。

が、ベンチに腰掛けたとたん、群がってくる蚊に半狂乱になった。

「絶対無理!」

そして逃げ出すように、その公園を後にしたのだった。


失意のなか、買い物客でにぎわう商店街の中を歩いていた。
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