私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
それにも関わらず、店主は三個、四個と詰め込んでいる。
「あの、一個って言いましたよね」
「こいつもサービスだよ」
そう言って五個目を詰め終えると、紙の袋を閉じて渡してきた。まだ温かい、揚げたての油の匂いが鼻をくすぐる。
「ずっとここで人が行き来してるのを見てるとさ、みんな人生背負って歩いてるんだなってのが見えてくんの」
その店主がなにを言おうとしているのか、私には分からなかった。
「その中でさ、あんたみたいな女の子がさ、すごく重てえもん抱えてるみたいに歩いてるとさ、なんか切なくなってきちゃってさ」
私は言葉が出なかった。
ただ、10円玉を差し出して頭を下げることしか出来なかった。
「まあ、年寄りの妄想かも知れねえけどよ、頑張るんだぜ」
「ありがとう」
その言葉がなぜか嬉しかった。
哀れんでくれるのが嬉しかったんじゃない。私の境遇を理解して、励ましてくれることが嬉しかったのだ。
きっと頑張れる。
そのときは、そんな気がした。
歩きながらコロッケを食べる。そのポテトの甘みに感激しながら、私はまぶたの裏を熱くした。
ずっと他人の優しさに触れてなかった気がする。
「あの、一個って言いましたよね」
「こいつもサービスだよ」
そう言って五個目を詰め終えると、紙の袋を閉じて渡してきた。まだ温かい、揚げたての油の匂いが鼻をくすぐる。
「ずっとここで人が行き来してるのを見てるとさ、みんな人生背負って歩いてるんだなってのが見えてくんの」
その店主がなにを言おうとしているのか、私には分からなかった。
「その中でさ、あんたみたいな女の子がさ、すごく重てえもん抱えてるみたいに歩いてるとさ、なんか切なくなってきちゃってさ」
私は言葉が出なかった。
ただ、10円玉を差し出して頭を下げることしか出来なかった。
「まあ、年寄りの妄想かも知れねえけどよ、頑張るんだぜ」
「ありがとう」
その言葉がなぜか嬉しかった。
哀れんでくれるのが嬉しかったんじゃない。私の境遇を理解して、励ましてくれることが嬉しかったのだ。
きっと頑張れる。
そのときは、そんな気がした。
歩きながらコロッケを食べる。そのポテトの甘みに感激しながら、私はまぶたの裏を熱くした。
ずっと他人の優しさに触れてなかった気がする。