私はダメ人間じゃない～ネットカフェ難民の叫び～
例の担当者が、居丈高に作業員たちに命令をする声が聞こえてきた。


（とにかく、お金を稼がなきゃ）


私の目の前には現実しかない。

ドアを開けて外にでた。

そこには漫画や映画のような、偶然に手にする幸運など転がっているはずもない。


ただ、働くこと。

それだけが唯一生きる道だった。



セッティングが終わり、現場を後にするころ。あの担当者と例の女は、携帯番号かメルアドかは分からないが、携帯をつき合わせて番号を交換していた。


（男も男なら、女も女……）


確かにどこにでもいる。

猿のような男にケツを振る女は──





新たに勤めることになった工場は、半導体と言われる小さなチップを製造する会社だった。

敷地もかなり広いし、その中にある工場だって幾つも建っている。

しかし、寮費６ヶ月無料という謳い文句には、やはり裏があった。

「半年は試用期間ということでね、時給も安くなるからね」

なんのことはない。試用期間という名のもとに、給料が減らされているのだった。それもキッチリ寮費分くらい。


のっけから落ち込んだが、しかし工程の見学に行くとその考えもどこかへ消えていた。
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