私はダメ人間じゃない～ネットカフェ難民の叫び～
「そりゃ渡辺の仕業に決まってるやん」

最初のジョッキを飲み干すなり、中川はそう言って、すぐに追加のジョッキを注文した。


あのあと、二人の機転で、すでに退職している人の靴を持ってきてくれた。

それで何とか、裸足で帰ることだけは避けられたのだ。


「可愛い女の子が入ると、必ず靴が無くなんねん。なあ、春樹もそう思うやろ」

「さあね、証拠がないからな」


春樹は憶測を嫌うのか、話半分に聞きながらジョッキを口に持っていった。

「ま、せっかくアンタのプチ歓迎会だ。暗い話はナシにしようぜ」

私もあまり深く考えたくはなかった。

「せやな。ああ、雪ちゃんも飲みや。ここの払いは全部春樹やからな」

「おーい、俺とお前のワリカンだろが」

前の会社では、中村のこともあって、かたくなに男からの誘いは断っていた。

しかし、こんな居酒屋で、なかなか男前の二人に挟まれるのも悪くはない。


オゴリということもあり、この日はお酒がすすんだ。

調子に乗っていたのも確かだ。

ビールに酎ハイ、日本酒を飲むころには、私の見る景色はグルグル回っていた。



翌朝、目が覚めた部屋は、明らかに私の部屋じゃなかった。
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